yama house/小針の家 リノベーション

築30年ほどの木造住宅の1階のリノベーション。

改修前の家は断熱材の能力不足により室内でも冬の寒さが厳しく、クライアントは広い家の中の小さなリビングにて生活していた。
これからの生活を豊かにしていくことができる「あたたかみ」のある家が求められた。

全面的な断熱補強をするとともに、30年前の軸組に対応しつつ、一部の壁や天井を取り払い、
間取りを大きく変えることで雁行型のLDKとバックスペース(収納、水回り)という構成を実現し た。
LDKにはキッチンを新設する一方で、和室障子と長押やダイニングにあった出窓をあえて残している。
全てが真新しいのではなく、昔の要素を残すことでクライアントの長い時間住んできた経験が思い起こされ、
どこかホッとできる「時間」のあたたかみがある空間にしている。
LDKとバックスペースを隔てる曲面壁は、東のダイニングからは朝日と木漏れ日を、
西のリビングからは夕陽を部屋の反対側まで届ける役目を果たしている。
時間の移ろいにより刻一刻と変化する光と陰を、どこにいても感じられる「光」のあたたかみがあふれる空間である。
さらに曲面壁を漆喰仕上げとしたことでLDK全体の調湿がおこなわれ、二重窓、空調設備の再計画により、「空気」のあたたかみも感じられる空間である。
またLDKは雁行型を採用したことで、両端のリビングとダイニングキッチンを大きくひとつの部屋として使うことも、それぞれの場所として使うこともできる。
これからの暮らしの要望にも応える拡張性をあわせもつ計画である。

様々な要素による「あたたかみ」の具現化により、数値に表すことができる性能の追求だけではなく、
測れないものを含めて計画することで、これからの数十年先へ、この家でくり広げられる生活を支え、暮らしの展開を後押しする家を目指した。(文:津野翼)

竣工
2021.12
種別
改修
用途
専用住宅
規模
60.15㎡
構造
木造
所在
新潟市西区
設計
東海林健建築設計事務所(担当  東海林・津野)
施工
株式会社 仲村建設(担当 仲村)
撮影
©アトリエラボン 村井勇

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